麻酔薬による無痛分娩が勧められる症例
最近、もともと心疾患や糖尿病などの病気を抱えている産婦さんや、妊娠中毒症などの産婦さんに対しても、医学的見地から、麻酔薬による「無痛分娩」を勧める場合があります。
分娩が進んでお腹が痛んでくると、血液中にカテコラミンという物質が増えます。カテコラミンとは痛みというストレス時に発生する物質です。そうなると脈拍が速くなり、血圧が上昇します。
さらに子宮の収縮時には、子宮にたまった血液が全身に押し出され、その血液が心臓に還り、肺を通って心臓から送り出す血液が増えます。つまり心臓が余分な仕事を強いられることになるわけです。
心臓に病気を抱える産婦さんは、もともと心臓の予備の力が少ないため、体で消費される酸素の量が肺から補給される酸素の量を上回って、呼吸が苦しい状態になってしまいます。
また、高血圧の産婦さんでは、全身の血管が硬くなって、赤ちゃんへの血液がスムーズに供給されなくなる可能性があります。
さらに妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の産婦さんの場合、赤ちゃんへの血液を送る臍帯(さいたい)という血管が細くなり、栄養補給が行き届かないため、赤ちゃんの発育が悪くなるという状況を招きます。
糖尿病の産婦さんもこれと同様のことが起きている場合があります。
そこへ陣痛の痛みという激しいストレスが加わると、血液中のカテコラミンが増加し、血管はさらに血液を通しにくい状態になってしまいます。
すると必然的に赤ちゃんへの血液も送られにくくなってしまいます。
このように、特に病気を抱える産婦さんにとって、陣痛の痛みは、母子ともに受ける試練となるわけです。
そのため麻酔薬を使用した無痛分娩が推奨されているのです。
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